大虐殺

大虐殺
タイプ戦争
年月日
場所カッツェ平野北西部
結果アインズ・ウール・ゴウン魔導国
バハルス帝国軍の勝利
交戦勢力
アインズ・ウール・ゴウン魔導国
バハルス帝国連合軍
リ・エスティーゼ王国軍
指揮官
アインズ・ウール・ゴウン魔導王
ナテル・イニエム・デイル・カーベイン
エリアス・ブラント・デイル・レエブン
ブルムラシュー侯
ペスペア侯
ウロヴァーナ辺境伯
ボウロロープ侯×
リットン伯
バルブロ×
戦力
魔導国軍500*1
帝国 6万(6軍団)*2
25万*3*4
損害
戦死者
143(帝国軍)*5
戦死者
約18万*6

概要

 大虐殺は、毎年カッツェ平野で起こるバハルス帝国とリ・エスティーゼ王国との形式的な戦闘に、帝国皇帝ジルクニフに乞われる形で参戦したアインズ・ウール・ゴウン魔導王の放った魔法により王国側に未曽有の被害をもたらした事象である。

経緯

 アインズは、ナザリック地下大墳墓に帝国のワーカーが侵入した事に対する謝罪のため同墳墓を訪れたバハルス帝国皇帝・ジルクニフから、ナザリックのある地に建国し帝国との同盟の締結という提案を了承した*7。
 一か月後*8、帝国は王国に「魔導王の治めるナザリックを国として承認し同盟を結んだ」「元来、エ・ランテル近郊は魔導王の領有地であり、不当に占拠している王国は返還すべき」「拒否するなら帝国は魔導王に加勢しその所領の奪還のため王国に侵攻する」との宣言を発した。
 帝国の宣言を受けた王国では大多数の貴族が応戦を唱える中、唯一人アインズの実力の一端を知るガゼフは国王・ランポッサⅢ世にエ・ランテルの割譲を進言するも、大勢を覆す事は出来ず開戦の運びとなる。ただ、スレイン法国は例年「エ・ランテルは自国の領土」と主張していたが、此度は「自国に記録がなく不明だが事実であるなら魔導王のエ・ランテル所有の正当性を認める」との書状を王国に送った*9。
 
 宣言から二か月が過ぎた冬*10、両軍はカッツェ平野で対峙。王国軍24万5千のうち、中央の10万5千は王派閥、左翼・右翼各7万は貴族派閥という布陣であった。全軍の指揮はレエブン侯が担い、5万以上を準備した*11ボウロロープ侯は左翼を率いた。王の長子・バルブロは別働隊5千の指揮官に任じられ*12、カルネ村に向かった。

 一方の帝国騎士団は6軍団(1軍1万、合計6万)が参戦。今までの最高は4軍団だった*13。指揮は帝国第二軍の将軍であるカーベインが取った。
 アインズの軍勢は500。棘付の鎧を着た戦士約200、革鎧を着た兵士300が各々魂喰らいソウルイーターに騎乗した*14。
 
 両軍が相対するなか、帝国軍の先頭に立ったアインズは開戦前にジルクニフから「己の最大魔法の行使」を依頼されていたため*15超位魔法<黒き豊穣への貢>を放つ。黒い風*16が王国軍左翼を吹き通ると左翼7万の人間がたちまち命を失った。その光景に両軍が愕然とする中、空に出現した漆黒の球体が大地に落ち弾け、地面に黒い液体が広がり王国軍の数多の遺体を飲み込むと、そこから黒い仔山羊が5匹現れる。アインズが仔山羊に王国軍への追撃の命*17を出すと、仔山羊達は王国軍陣地に猛進しその巨体で王国軍を踏み潰していった。

結果

 王国軍の死者は左翼7万に仔山羊に踏み潰された数多の人間等合計で18万に達する。これは王国の人口900万人の内およそ2%(男性だけで4%*18)、動員された者の7割近く。ランポッサⅢ世やレエブン侯、クライム、ブレインは生還したが、レエブン侯を逃すため囮となった同侯配下の元オリハルコン級冒険者チームのボリス・アクセルソン、フランセーン、ヨーラン・ディクスゴード、ルンドクヴィスト、ロックマイアーが仔山羊に立ち向かい戦死、同じく配下で平民出身の軍師も死亡した*19。また、ガゼフはアインズの勧誘を拒否し一騎打ちを望み敗死した。カルネ村へ向かう別働隊5千を率いたバルブロも未帰還となった*20。命を拾っても余りの恐怖体験から廃人となり通常生活を送れなくなった者もいる。
 エ・ランテルの譲渡も行われ、正式に魔導国の領土となると共に王派閥は大きく力を落とすことになった。

 勝者側だった帝国軍においても、一瞬で王国軍左翼を全滅させたアインズ及びその後の仔山羊の殺戮を目撃した事による恐怖・絶望により軍としての規律が崩壊。仲間を押し退けてまで逃走する者が相次ぎ、それによる死傷者が発生する事態の一方、アインズの圧倒的な力に心惹かれた者も少数いた*21。帝国軍の死者は143人で戦闘後に除隊を希望した者が3788人。また、PTSD等を発症した者が数千人発生した*22。
 
 また、この光景を監視していた漆黒聖典の「占星千里」は絶望し自室に閉じ籠った*23。

web版

 エンリが帝国の城塞都市近隣にある陣地を訪れ、カルネ村を襲撃した騎士をアインズという者が掃討したと告げる*24。その報告を受けたジルクニフはナザリックの調査を命じるが*25誘導して送り込んだワーカーが全滅した事を知ると自ら会いに向かった*26。ナザリックではアインズがジルクニフの臣下となる事を提案、辺境侯に就く事を了承される*27。ジルクニフとアインズの会談の数日後、帝国は左記の内容を公表しエ・ランテル近郊を辺境侯所領とする宣言を出した*28。

 帝国の宣言から一か月後の秋、王国は20万の軍を動員した*29。貴族の中にアインズと繋がりのある「血塗れのエンリ」を捕らえるべしという声もあったためカルネ村に軍の一部を派遣した*30*31。しかし、仮面を着けた血塗れのエンリ*32に野営地を襲われ、30体のレッドキャップスの手により千人のうちのほぼ全てが殺害され10人程が情報を王国にもたらすため見逃された*33。

 カルネ村に送られた軍が壊滅して3日後*34、仮面で顔を隠したアインズはフールーダを伴い帝国陣地に到着しカーベインと面会する。アインズの呼び寄せた軍勢は300だが、それらは全てスケリトル・ドラゴンに騎乗したデス・ナイトであった*35。一方の王国軍は中央に王派閥10万、両翼に貴族派閥各5万という布陣*36のなか、左翼のボウロロープ侯は4万を準備した*37。しかし、アインズの放った超位魔法<黒き豊穣への貢>により王国軍の右翼5万は一瞬にして息絶え、出現した黒い仔山羊に王国軍は蹂躙される。仔山羊達は多くの人間の殺害及び乗馬している者の殺害を命じられており、それに気づいたクライムの機転で彼とランポッサⅢ世は運よく生を拾い、仔山羊の進撃を防ごうとしたガゼフもまた仔山羊に単なる兵士としてしか認識されず、運よく見逃された。反対にレエブン侯は乗馬して逃げたため殺害された*38。
 
 大勢が決すると、アインズは「強欲と無欲」を使い殺害した王国兵から経験値を得る。なお、この光景は帝国軍には魂を吸収している魔王としか見られなかった。その後、太陽に重なるように配置していた、ナザリックの最大戦力の一角である巨大な発光体の撤収の命を出す。王国軍の死者は約13万、帝国側は0であった*39。


  • *1 : 9-227
  • *2 : 9-162
  • *3 : 9-157
  • *4 : 法国は王国の動員兵力を26万としている。10-238
  • *5 : 10-263
  • *6 : 10-153
  • *7 : 9-077
  • *8 : 9-125
  • *9 : 9-165
  • *10 : 9-156
  • *11 : 9-176
  • *12 : 9-174
  • *13 : 9-162
  • *14 : 9-338
  • *15 : 10-264
  • *16 : 実際に風が吹いたわけではない。9-347
  • *17 : デミウルゴスから嘆願された3人ともう一人(恐らくガゼフ)の計4人を除く。9-360
  • *18 : 14-013
  • *19 : 10-157
  • *20 : 実際はアインズの派遣したルプスレギナにより殺害された。
  • *21 : 9-380
  • *22 : 10-263
  • *23 : 10-236
  • *24 : web 出立
  • *25 : web 諸国−2
  • *26 : web 諸国−4
  • *27 : web 会談−6
  • *28 : web 会談−7
  • *29 : web 大虐殺−1
  • *30 : web 大虐殺−1
  • *31 : レエブン侯達は事前にモモンにその情報を流した。
  • *32 : 正体はルプスレギナ。
  • *33 : web 大虐殺−2
  • *34 : web 大虐殺−2
  • *35 : web 大虐殺−2
  • *36 : web 大虐殺−3
  • *37 : web 大虐殺−1
  • *38 : web 大虐殺−3
  • *39 : web 大虐殺−4

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